徒然のんべんだらり、気の向くまま萌の赴くまま。 二次創作BL中心、腐女子バンザイ乱行三昧。 |
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創作の小話です。
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。
遙かなる時空の中で2、翡翠×幸鷹で現代パラレルです。
全年齢対象だとは思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)
一応、同タイトルの続きになります。
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。
遙かなる時空の中で2、翡翠×幸鷹で現代パラレルです。
全年齢対象だとは思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)
一応、同タイトルの続きになります。
【 ダイヤモンドヴァージン 1.5 】
「友雅殿、島が」
「勝手に出て行ったかと思えば、急に呼ぶんだからねぇ」
「やはり・・・」
「本当に、勝手なやつだよ」
「しかし、このような場所に」
上空の、なだらかな風に任せるまま移動していた浮島に、唐突にかかった推進力。
慣性の法則の元、後ろに倒れそうになった鷹通の体を支えて、友雅は眼下を見下ろす。
ゆっくりと、降下しながら後ろに流れてゆく景色。
浮島は何もない澄んだ夜空から、厚い雲を抜けて、濁った空の中へ。
はじめ山のようだと思ったそれらは、次第に形を現し、友雅はビルの群れであったと悟る。
人工の、 粘土や鉄で出来た山の群れ。
大部分はひっそりと暗闇に包まれ、一部はけばけばしいネオンで彩られた混沌の世界。
一際、高い人工物の上。長い間、姿を見せなかった片割れが。
「おや、ずいぶんと珍しいものを連れているね」
「あの人は・・・、人間ですか?」
「そうだね、ずいぶんとよく出来た造作だ。少し君に似ているかな」
「何か、違和感が」
「ふむ、人間とは愚かしいね。機械に頼らずとも、その記憶力は格別なのに」
「やはり、サイバネートを・・・」
「さて、あれは彼をどうするつもりだろうね」
やれやれと言った風情で、片割れを見下ろす友雅。
その横で、鷹通は不思議そうに眼下の二人を見下ろした。
衝突するのではないかと言うほど、ぎりぎりまで浮島を引き寄せて、翡翠はじたばたと暴れる幸鷹を担ぎ、浮島へと飛び移った。
それを合図に、島はまた上空へと浮き上がる。
離れていく地上を、呆然と眺める幸鷹を、翡翠が面白そうに見やっていると、声がかかった。
「急なお帰りだね、翡翠」
「お久しぶりです、翡翠殿」
ここにくれば、必然と会ってしまう相手だったが、あまりに早い挨拶ともいえよう。
翡翠は二人の姿を認めて、ふわりと笑った。
「やぁ、ご無沙汰だったけど、元気そうだね」
それは鷹通だけに向けられた言葉。
友雅は不愉快そうに眉を寄せたが、すぐに笑顔を取り繕い。
「そこの、美しい人を紹介してはくれまいか? 我が片割れ殿」
翡翠がその言葉を厭っていることを知っていて、わざと口に乗せる。
ちょっとした意趣返しのつもりだったが、上機嫌の彼には通用しなかったらしい。
優雅に笑って、幸鷹を抱きよせ。
「シンクタンクにいた、幸鷹というのだよ」
「それはまた、ご大層なお方だ」
「ふふ、でもね。何も知らない無垢な赤子だよ」
「は、放せ、翡翠。私は赤子では・・・っ」
翡翠は、己の言動に反発し、腕から逃れようとする幸鷹の唇を唇で塞ぐ。
その唐突さに目を白黒とさせ、翡翠の瞳を見ることしか出来なかった幸鷹は、次第に深くなり、探るような動きを見せる彼の舌に翻弄され、その瞳を瞑った。
息苦しそうな声が、鼻から抜けて、妙に艶かしい音として響く。
「翡翠殿」
咎めるような声で、鷹通が翡翠を呼ぶ。
翡翠は仕方ないと言った風情で、唇を放した。
銀の糸が、張力に負けて、ぷつりと切れる。
酸欠で脱力した幸鷹を片手で大事そうに抱え、翡翠は満足そうに唇をぬぐった。
「可愛い人に怒られてしまったね。では、続きは見えないところですることにしよう」
にこりと笑って、二人の横をすり抜ける翡翠に友雅は。
「遊ぶのは構わないが、執着するのはお前が辛くなるだけだよ」
「さて、何のことやら」
「翡翠殿、幸鷹殿は・・・」
「先のことは、いずれね。今は、この子にいろいろと教えるのが先だよ」
楽しそうに笑って、ひらひらと手を振る。
そうして、巨城の中に二人は消えていく。
その姿を、鷹通は痛ましそうな瞳で見送った。
友雅はその肩をそっと抱き寄せる。
それに鷹通は抗うことなく従って。
「幸鷹殿は・・・」
「うん、彼は少し成長しすぎているね」
「やはり、もう」
「私が君を見つけたときのようなら、まだ間に合うのだけれど」
「翡翠殿は、解っていらっしゃいますよね」
「そうだろうね。それでも、欲しかったのだろう。あれは感情のままに動くから」
「・・・感情・・・」
友雅は思う。自分は幸運だったと。
この城に招くと言うことは、己の半身に選ぶと言うことと同意にも等しい。
自然の摂理に逆らって、浮島とともに、無限にも等しい生を送る中、自分は鷹通と出会えた。
そして、彼はこの世界で生きるための条件を満たすことが出来た。
生涯の伴侶となることが。
しかし、翡翠は、選んだ相手が悪い。
彼が選んだ幸鷹は、人間として、成長を終えている。
今さら、この世界の体に作り変えることは不可能だ。
例え、寿命を延ばせたとしても、やがて終わりが来る。
その時、翡翠はその喪失に耐えられるだろうか。
「友雅殿」
「鷹通・・・」
「どうかあの二人が、安寧であるように祈りましょう」
そっと友雅の手を握り、鷹通は精一杯の笑顔を送る。
その笑顔に、心癒されながら、同時に締め付けられるような痛みも感じる。
どうせ、翡翠はいつものようにすぐに飽きてしまうだろうと思いたい。
だが、そうはならないと言う確信めいたものも自分の中にあって。
歪みそうになる顔を隠すように、友雅は鷹通を抱きしめ。
「そうだね、鷹通。一緒に祈ろう」
祈るなど、したことがない友雅だった。
誰に祈ればいいのか、何を祈ればいいのかも、解らない。
だが、祈らずにはいられなかった。
どうか、あの二人が共にある間は、彼らが幸せであるようにと。
END
「友雅殿、島が」
「勝手に出て行ったかと思えば、急に呼ぶんだからねぇ」
「やはり・・・」
「本当に、勝手なやつだよ」
「しかし、このような場所に」
上空の、なだらかな風に任せるまま移動していた浮島に、唐突にかかった推進力。
慣性の法則の元、後ろに倒れそうになった鷹通の体を支えて、友雅は眼下を見下ろす。
ゆっくりと、降下しながら後ろに流れてゆく景色。
浮島は何もない澄んだ夜空から、厚い雲を抜けて、濁った空の中へ。
はじめ山のようだと思ったそれらは、次第に形を現し、友雅はビルの群れであったと悟る。
人工の、 粘土や鉄で出来た山の群れ。
大部分はひっそりと暗闇に包まれ、一部はけばけばしいネオンで彩られた混沌の世界。
一際、高い人工物の上。長い間、姿を見せなかった片割れが。
「おや、ずいぶんと珍しいものを連れているね」
「あの人は・・・、人間ですか?」
「そうだね、ずいぶんとよく出来た造作だ。少し君に似ているかな」
「何か、違和感が」
「ふむ、人間とは愚かしいね。機械に頼らずとも、その記憶力は格別なのに」
「やはり、サイバネートを・・・」
「さて、あれは彼をどうするつもりだろうね」
やれやれと言った風情で、片割れを見下ろす友雅。
その横で、鷹通は不思議そうに眼下の二人を見下ろした。
衝突するのではないかと言うほど、ぎりぎりまで浮島を引き寄せて、翡翠はじたばたと暴れる幸鷹を担ぎ、浮島へと飛び移った。
それを合図に、島はまた上空へと浮き上がる。
離れていく地上を、呆然と眺める幸鷹を、翡翠が面白そうに見やっていると、声がかかった。
「急なお帰りだね、翡翠」
「お久しぶりです、翡翠殿」
ここにくれば、必然と会ってしまう相手だったが、あまりに早い挨拶ともいえよう。
翡翠は二人の姿を認めて、ふわりと笑った。
「やぁ、ご無沙汰だったけど、元気そうだね」
それは鷹通だけに向けられた言葉。
友雅は不愉快そうに眉を寄せたが、すぐに笑顔を取り繕い。
「そこの、美しい人を紹介してはくれまいか? 我が片割れ殿」
翡翠がその言葉を厭っていることを知っていて、わざと口に乗せる。
ちょっとした意趣返しのつもりだったが、上機嫌の彼には通用しなかったらしい。
優雅に笑って、幸鷹を抱きよせ。
「シンクタンクにいた、幸鷹というのだよ」
「それはまた、ご大層なお方だ」
「ふふ、でもね。何も知らない無垢な赤子だよ」
「は、放せ、翡翠。私は赤子では・・・っ」
翡翠は、己の言動に反発し、腕から逃れようとする幸鷹の唇を唇で塞ぐ。
その唐突さに目を白黒とさせ、翡翠の瞳を見ることしか出来なかった幸鷹は、次第に深くなり、探るような動きを見せる彼の舌に翻弄され、その瞳を瞑った。
息苦しそうな声が、鼻から抜けて、妙に艶かしい音として響く。
「翡翠殿」
咎めるような声で、鷹通が翡翠を呼ぶ。
翡翠は仕方ないと言った風情で、唇を放した。
銀の糸が、張力に負けて、ぷつりと切れる。
酸欠で脱力した幸鷹を片手で大事そうに抱え、翡翠は満足そうに唇をぬぐった。
「可愛い人に怒られてしまったね。では、続きは見えないところですることにしよう」
にこりと笑って、二人の横をすり抜ける翡翠に友雅は。
「遊ぶのは構わないが、執着するのはお前が辛くなるだけだよ」
「さて、何のことやら」
「翡翠殿、幸鷹殿は・・・」
「先のことは、いずれね。今は、この子にいろいろと教えるのが先だよ」
楽しそうに笑って、ひらひらと手を振る。
そうして、巨城の中に二人は消えていく。
その姿を、鷹通は痛ましそうな瞳で見送った。
友雅はその肩をそっと抱き寄せる。
それに鷹通は抗うことなく従って。
「幸鷹殿は・・・」
「うん、彼は少し成長しすぎているね」
「やはり、もう」
「私が君を見つけたときのようなら、まだ間に合うのだけれど」
「翡翠殿は、解っていらっしゃいますよね」
「そうだろうね。それでも、欲しかったのだろう。あれは感情のままに動くから」
「・・・感情・・・」
友雅は思う。自分は幸運だったと。
この城に招くと言うことは、己の半身に選ぶと言うことと同意にも等しい。
自然の摂理に逆らって、浮島とともに、無限にも等しい生を送る中、自分は鷹通と出会えた。
そして、彼はこの世界で生きるための条件を満たすことが出来た。
生涯の伴侶となることが。
しかし、翡翠は、選んだ相手が悪い。
彼が選んだ幸鷹は、人間として、成長を終えている。
今さら、この世界の体に作り変えることは不可能だ。
例え、寿命を延ばせたとしても、やがて終わりが来る。
その時、翡翠はその喪失に耐えられるだろうか。
「友雅殿」
「鷹通・・・」
「どうかあの二人が、安寧であるように祈りましょう」
そっと友雅の手を握り、鷹通は精一杯の笑顔を送る。
その笑顔に、心癒されながら、同時に締め付けられるような痛みも感じる。
どうせ、翡翠はいつものようにすぐに飽きてしまうだろうと思いたい。
だが、そうはならないと言う確信めいたものも自分の中にあって。
歪みそうになる顔を隠すように、友雅は鷹通を抱きしめ。
「そうだね、鷹通。一緒に祈ろう」
祈るなど、したことがない友雅だった。
誰に祈ればいいのか、何を祈ればいいのかも、解らない。
だが、祈らずにはいられなかった。
どうか、あの二人が共にある間は、彼らが幸せであるようにと。
END
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