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徒然のんべんだらり、気の向くまま萌の赴くまま。
二次創作BL中心、腐女子バンザイ乱行三昧。
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創作の小話です。
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。

ガンダム00、アレルヤ×ティエリアです。
全年齢対象だとは思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)

タイトルが『Ⅱ』になってますが、単品でも読めると思います。




【 ピジョンブラッドⅡ 】



「君が嫌がることはしないよ。・・・嫌がることは、ね」



しっかりしろ、とティエリアは己に言い聞かせた。
怖気ずくなど、情けないではないか、と。
今、眼前に待ち構えている事象は、前もって交わした約束によるものだ。
今さら反故にして、目の前の男に、情けない姿などさらせるか、と。
それも、いやに楽しそうな顔をしている相手に、怯えなど感じ取らせては、それこそ面白がられるに決まっているからだ。
ティエリアはもう一度、己を鼓舞して目の前の相手――アレルヤ・ハプティズム――に視線を向けた。



事の起こりは数時間前。
ミッションに出向くため、ブリーフィングを終えてすぐのことだ。
今回は待機になったティエリアはミッションプランの検証をしようと、自室に向かおうとしていた。
そこを、アレルヤによって呼び止められたのだ。

「何の用だ、アレルヤ・ハプティズム。君は今回、出撃だろう」

「うん、そうなんだけどね。ちょっと」

自分を追ってきたアレルヤに、暗にさっさと作戦行動に入れという意味を込めて発した言葉だったが、アレルヤはその意味を解さず、ティエリアの横へと並んだ。
このまま居住区についてこられてミッションに支障が出ても困ると、ティエリアは立ち止まり、少し上にあるアレルヤの瞳を見上げた。

「怒らないでよ。用事が済んだら、すぐに作戦行動に入るから」

別に怒っていたわけではないが、もともと視線のきついティエリアが見上げると睨んでいるように見えるようで、アレルヤは少し肩をすくめた。
視線だけで、言葉の続きを促して、ティエリアは聞く体制に入った。
ミッション前に、無駄な時間を割くのはよくないと、早急にその用事とやらを終わらせようとしたのだ。

「あのね、ティエリアにお願いがあるんだ」

「お願い?」

ティエリアが聞く体制に入ったのをよしとして、アレルヤはにこりと微笑んでそんなことを言った。
アレルヤの言葉に疑問を感じ、そのまま鸚鵡返しに聞くと、アレルヤも鸚鵡返しにその言葉を繰り返した。

「要請なら内容如何によって受け付けなくもないが・・・」

「そんな大したものじゃないんだ。ホントにお願い程度だよ。ティエリアが嫌ならしなくていい」

個人レベルのお願いだからと、アレルヤは微笑んだまま告げた。
アレルヤの言葉に、疑問は募るばかりで、ティエリアは内容を提示するようアレルヤに求めた。
すると、アレルヤは今までの微笑をすっと引いて、至って真摯な眼差しを向けてきた。
そのことに、ティエリアは小さく瞠目した。

「このミッションが終わったらね、キス、させてくれないかな」

「・・・何故だ」

アレルヤの要求に、ティエリアは一瞬言葉に詰まった。
キス?
キスとはアレだ、親愛の情を示すために唇を相手に触れさせる行為だ。
親愛ならば、民族や宗教によっての違いはあるが、たいてい頬や額だろう。
だが、親愛でなく、愛情ならば互いの唇ではなかったか?
そしてアレルヤは以前、自分に親愛以上の愛情を持っているのだと、言ってきたのではなかったか?
そんなことが、ティエリアのよく回る頭の中を駆け足で通り抜けて行ったために、返答が遅れたのだ。
そしてその思考が通り去った後に残ったのは疑問だ。
ティエリアはその疑問をそのまま口に乗せた。

「何故って・・・。えーと、ご褒美、かな」

「褒美?」

「うん。ミッション遂行時におけるご褒美。人間、ご褒美があった方が、何事もやる気が違うでしょ?」

「君はミッションを何だと思っているんだ。子供の使いじゃないんだぞ」

「わ、怒らないでよ。そんなに軽々しく考えてなんかいないよ。でも、やっぱり何か楽しいことが待ってる方が、達成率も上がるだろうし遂行時間も短くなると思うんだよね」

「・・・それは確かかもしれないが・・・」

酷くまじめな顔をするから、どんな内容かと思えば、アレルヤの口から出たのはそんな内容だった。
あまりな内容のために、ティエリアが呆れて不機嫌さを隠そうともせずに、言葉を返すと、アレルヤはいつもの少し困った顔で慌てて、いい訳めいたものを付け足した。
その言い訳に、ティエリアも納得しかけたが、だからといってはいそうですかと渡せる褒美でもない気がする。
何しろキスだ。
それも、アレルヤは自分に特別な感情を抱いている。
そんな相手がいちいち伺いを立ててキスを要求してくるということは、まさか額や頬であるはずがないだろう。
アレルヤの唇が、自分の唇に触れる。
あの少し、肉厚な唇に。
別に、食事を取る時に、スプーンが触れるのと然したる差はないはずなのに、アレルヤの唇だと思うと、何故かティエリアは是と言えないでいた。

「あれ、もしかして、ティエリア。キスって初めて?」

「・・・」

すると、アレルヤがそんなことを言って来て、ティエリアは沈黙した。
その沈黙こそが肯定しているのだと気付きもせずに。

「・・・初めての人に、こんな要求は可哀想だよね。ごめ・・・」

「別に! たかがキスだろう」

「じゃぁ、しても、いいの?」

「・・・!」

ティエリアの沈黙に、アレルヤが気の毒そうな顔をして謝ろうとしたのを、ティエリアは遮った。
何だかものすごく、子ども扱いされているようで、癪に障ったのだ。
するとアレルヤが、再度伺いを立ててきて、ティエリアはしまったと思った。
ここで拒否してしまえば、自分は子供だと認めてしまうようなものだと思ったのだ。
他人と触れ合うなど、不快なだけだとは言え、それでも負けを認めるような発言はしたくないと思ったのだった。
だが、だからといって簡単にキスを許すのもアレルヤの言葉に篭絡されたようで気に入らない。
他人に触れられるなど、不快なのだから。
その不快感を押し黙らせるほどの、成果を相手から引き出さなければ。
そう思って、ティエリアは条件を提示することにした。

「・・・いいだろう。だが、目標遂行時間内で達成率98%以上の場合だけだ」

「手厳しいね」

その条件を聞いて、アレルヤは困ったような顔をした。
その顔を見て、ティエリアは少しだけ溜飲の下がる思いがした。

「当たり前だ。それ以下の成果で、君の個人的なお願いとやらを俺が聞いてやる筋合いはないだろう」

「まぁ、そうだね。でも、達成できたら、させてくれるんだよね?」

「二言はない」

「絶対だよ?」

「いい加減にしろ。 俺を誰だと思っている」

「うん。じゃぁ、行って来るね」

アレルヤのしつこいほどの確認に、ティエリアが眉間に皺を寄せると、アレルヤは満足そうに笑って、踵を返した。
そして、妙に軽い足取りで、もと来た道を引き返していったのだった。



それから数時間。
一人自室のモニターで、ミッションを静観していたティエリアだったが、プランどおりにミッションが進行していくさまを見つめながら、少しずつ不機嫌になっていた。
これまではプランどおりにミッションが進行していくのをよしとしてきたが、今回はミッションの後にアレルヤにご褒美をやらなくてはならない。
今のところ、彼はほぼ100%の達成率を誇っている。
時間もすべて予定通り、いや心なしか早めに片付いている。
つまりは着実にご褒美に近づいている。
ティエリアはモニターを見つめながら、小さく唇を噛んだ。
そして、しばらくしてアレルヤの声が最後に告げた。

「ミッション・コンプリート」

と。



そして冒頭に戻る。
アレルヤはミッション終了と共に、すぐに戻ってきてティエリアの前に立ったのだ。
その様子はさながら大型犬がしっぽを振って駆けて来たようだった。

「アレルヤ・ハプティズム」

「うん。予定時間内に、98%以上の達成率だったよね?」

「そのとおりだ」

「ティエリア」

確認をしてきたアレルヤに、事実そのとおりだったので、肯定の返事を返すとアレルヤはティエリアを呼んだ。
何故かその声には熱が孕んでいるようで、ティエリアの身体に緊張が走った。
だが、その緊張を相手に悟られてはならない。
キス程度で怯むなど、情けないではないか。
そう思って、アレルヤの瞳を真っ直ぐに見返した。

「あのね、ティエリア。ホントに嫌なら言っていいんだよ? 僕は君の嫌がることはしたくないから・・・」

「たかがキスだろう。さっさとすればいいだろう」

ティエリアがミッション遂行時から今まで、繰り返し覚悟を決めてきたというのに、この期に及んでアレルヤ本人が優柔不断な態度を見せたことに、ティエリアはイラついて言葉を発した。
そう、たかがキスだ。
さっさと済ませてしまえば、こんなイライラとした気分も終わるのだ。
そう思って早くしろと催促すれば、アレルヤが困ったように視線をさまよわせた。

「あのー、そんなじっと見つめられたらやりにくいんだけど・・・」

「? 目を瞑った方がいいのか?」

「そうしてもらえると嬉しいかな」

「・・・」

アレルヤの言葉に、ティエリアは素直に目を閉じた。
相手の顔が近づいてくる様を見つめているよりは、見えないほうがいいかもしれないと思ったのだ。
見えていなければ、それが相手の唇だと意識せずに済むことだし、と。
そう思って素直に目を閉じたティエリアだったが、アレルヤの少し体温の高い掌が肩に触れたときに、びくりと震えた。
確かに、見えなければ意識せずに済むが、いつそれがやってくるのかは解らないという、新たな不安が生まれたのだ。
そして、頬に自分のものではない、少し固めの髪が触れて、アレルヤの顔が間近にあるのだと悟れば、否応なしに身体が緊張してしまう。
その緊張に吊られて、瞼も軽く閉じていたはずが自然と力が入って、力の限り瞑る、という状態になってしまっていた。
いつ訪れるとも知れない不安から、身体を硬くしていたティエリアだったが、目のすぐ横、こめかみ辺りで軽い音がして、ぱっと目を開いた。
いつの間にか、肩に触れていたアレルヤの手も離れている。

「・・・今の・・・」

「うん、キスだよ。ティエリア、どうしたの?」

「何でもない・・・」

てっきり、アレルヤは唇にしてくるものとばかり思っていたティエリアは、何だか一気に気が抜けてしまった。
今までぐるぐると悩んでいたのは一体なんだったんだ。
確か、アレルヤは自分に好意を抱いているのではなかったか。
それなのに頬にキスするだけで満足なのか?
断じて唇にされることを期待していたわけではないが、されないとなるとなんだか妙に腹立たしいようにも感じる。
だが、アレルヤは不思議そうにティエリアの様子を見ている。
つまりは初めから、頬にキスするつもりだったということだろう。
何だか急に馬鹿らしくなって、ティエリアはその場に座り込みたい気分になった。

「自室で休む。君も休むといい」

「? うん」

どっと精神的疲れが押し寄せて、ティエリアは自室へと向かっていった。
もう、今日は何も考えずに眠りたい気分になったのだ。

「ねぇ、ティエリア。僕はね、君が嫌がることはしないよ。・・・嫌がることは、ね」

そんなティエリアの後姿に、アレルヤの笑みを含んだ言葉が囁かれたが、それはティエリアには聞こえることはなかった。

 

- END -
 

 ***** あとがき。*****************************************

単品でも読めると思うんですが、微妙・・・?
たんにタイトル考えるのが面倒だとかそお言うわけでは・・・ごにょごにょ。

やっとカップリングらしい内容になったかな?
でもなんか、アレルヤが黒いような。(苦笑)
アーデ様の性格が何か違うような気もしないでもないですが、うーん。

こういうアレティエってありなのかしら?
他のサイトさんとかはもっとラブラブしてるのに、どうも私の書くのってラブ度が足りないですねぇ・・・。
(厳密にはまだ出来上がってないしな・・・/汗)

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