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徒然のんべんだらり、気の向くまま萌の赴くまま。
二次創作BL中心、腐女子バンザイ乱行三昧。
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創作の小話です。
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。

遙かなる時空の中で1~3、地×天パラレルです。
全年齢対象だとは思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)

(遙か花街再録)
【 龍と魔法使い 】


魔術。
それは読んで字のごとく、魔を操る術(すべ)のことである。
人間とは異なる世界に住まう、人間とは異なるモノを操る術。
だからこそ、この世界では魔界と呼ばれる異なる世界に住まうモノを召喚し、使い魔とした者、つまり使い魔を持つ者こそが一人前の魔術師とされる。
どんなに博識で、どんなに魔法の技術が優れていようとも、使い魔を持たぬ者は魔術師として認められないのだ。



こつり。
石を敷き詰めて作られた地下の石室は、不必要なほどそこに降り立つ者の足音を響かせる。
こつり、こつり。
外界の光がまったく入り込まないその石室に、ランプの明かりだけを頼りに、二人の青年が降り立った。
こつこつと、二人分の足音が、妙に反響して、青年の一人、鷹通の神経を緊張させていく。
そこは、召喚術を行うために、幾重にも結界を施された特別な部屋。
その部屋に行くということは、つまりは召喚術を行うということで。
初めてその術を行う鷹通は、これ以上ない程にがちがちに緊張していた。
その鷹通の背中を、もう一人の青年、幸鷹がゆっくりと撫でた。

「そんなに緊張しなくとも、大丈夫ですよ。ここには結界も張ってありますし、召喚に応じる魔性のモノは余程のことがない限り、術者の力量に見合ったモノですから」

「えぇ、解ってはいるのですが・・・」

優しげな幸鷹の声が、諭すように鷹通に告げる。
その言葉を聞いて、少しは緊張を解く鷹通だったが、やはり初めての施術ということもあって、なかなか肩の力を抜くことが出来なかった。
今まで、たくさんの同学の者達が召喚術を行い、大なり小なり使い魔を得て魔術師となった。
だから、鷹通の今回の施術は、遅過ぎるくらいなのだ。
だが鷹通は、まだ自分は未熟だからと施術を行わず、これまでずっと魔術の習得に励んできた。
それだけ修練を積んでいるのだから、緊張するほどでもないはずなのに、生真面目な鷹通は、やはり緊張してしまっているのだ。
魔性のモノを召喚し、使い魔としての主従の契約を結ぶとはすなわち、召喚した魔性のモノに己の力を示し、服従させるということだから。
それは、場合によっては戦闘にもなり得るということで。
元来、争いごとを好まない鷹通には、もし戦闘になったとして、相手を傷付けなければならないことが起こり得る、ということが気がかりでならないのだ。
自分が傷つくかもしれない、ということ以上に。
その鷹通の性格を、知り過ぎるほど知っている幸鷹は、そんな鷹通を落ち着かせるようにもう一度言葉を重ねた。

「もし何かあったとしても、私がついています。だから、大丈夫ですよ」

「えぇ、そうですよね」

「もっとも、使い魔を持たない私では、心許無いかもしれませんけど」

「そ、そんなことないです!」

幸鷹の言葉に、とっさに鷹通が振り返ると、穏やかな笑顔の幸鷹の瞳とぶつかった。
目が合うと、幸鷹の笑みはさらに深く包み込むようになり、その瞳を見ていると、自然と鷹通の肩から力が抜けた。
鷹通は、幸鷹が自分の緊張をほぐそうと、わざとおどけて見せてくれたのだと解った。
実際、幸鷹は本当に優秀な魔法使いなのだ。
基礎魔術から、応用魔術、さらには新しい魔術の開発さえこなしてしまうほどで、魔術師でないことが不思議なくらいの。
そう。
幸鷹は魔術師ではなく、魔法使いなのだ。
その理由は、使い魔が不在のためだ。
どういうわけか、幸鷹は使い魔を持つことが出来ない。
これだけの才能を持ちながら、何度召喚術を行っても、幸鷹の召喚に魔性のモノが応じないのだ。
6年前、初めて召喚術を行った際には、成功したようなのだが、その魔性のモノとは契約を結んでいないらしい。
詳しいことは、幸鷹が語らないので解らないのだが、その初めての召喚術以降、幸鷹の召喚術は発動せず、それゆえ彼は使い魔を持てず、魔術師になれないままなのだ。
実力は、誰よりも抜きん出ているというのに。
そんな彼が後見人を務めてくれているのに、不安なはずがない。
幸鷹の、大丈夫だという言葉にをもう一度心の中で反芻して、鷹通は暗い目の前の石室に視線を移した。
手に持つランプで照らせる範囲はあまりに少なく、石室内を異様に狭く感じさせた。
どこかに明かりは、と鷹通が視界をめぐらせると、急にあたりが明るくなった。
幸鷹が魔法で壁にある燭台に火を灯してくれたようだった。
明るくなった石室を見渡せば、存外広いものだった。
ぐるりと石の壁に囲まれ、壁にはいくつもの燭台。
床には黒く線で幾重もの魔法陣。
それが、召喚用と結界用だということは、始めてこの部屋に入る鷹通にもすぐに解った。
幸鷹は下りてきた階段のある入り口付近の、結界陣の外で鷹通を見つめている。
鷹通はここからは一人なのだ、と改めて肝に据え、魔方陣の中心よりやや離れた場所に立った。
そこが、術者の立ち位置。
召喚陣の中心は、魔性のモノが降り立つ位置だからだ。
その決められた立ち位置にたたずみ、幾度か深呼吸を繰り返し、鷹通は精神を集中させていく。
鷹通の集中が高まるにつれ、石室内の空気も張り詰めていく。
そうして、精神を一点に集中させたまま、鷹通は召喚の呪文を唱えた。

「魔界に住まいし魔性のモノよ、我が声に応え来たれ」

鷹通の声に応えるように、魔法陣の黒い線が赤く染まっていく。
それと同時に、魔法陣がぼんやりと光り始める。
それを見て、幸鷹も同じように結界陣に力を流し込んだ。
部屋全体が、地面からの光で先程よりもさらに明るく照らし出される。
すると、陣の中心に小さな光の穴が生まれ、それは次第に大きくなり、人が両手を広げてもゆうに通れるほどの大きさに育っていく。
鷹通ののどが、ごくりと小さく鳴る。
大きく開いた光の穴が、柱のように光を噴出し、そのあまりの眩しさに、鷹通も幸鷹も瞼を閉じた。

「・・・っあ!」

「鷹通?!」

不意に上がった鷹通の声に、幸鷹はすぐに瞳を開き、彼の姿を探した。
光に焼かれた目は、なかなか視力を取り戻せず、よくやくぼんやりと見えてきたならば、そこには鷹通と、その腕を掴む長身の男。

「私を呼んだのは君だね?」

酷く耳障りのいい声が響き、それがその長身の男から発せられたものだと気づくまでに、暫く時間がかかった。
どこからどう見ても、人間にしか見えない美しい男。
だが、迸るそのオーラは決して人にはあり得ないほどの強さで。
鷹通はその目の前の男の容貌を、呆けたように見つめることしか出来なかった。

「私は西の地に住む、ドラゴンの友雅。君の名は?」

「・・・た、鷹通、です」

波打つ髪を優雅にかき上げた友雅と名乗った男は、鷹通の名を聞くと、恭しく彼の手の甲に口付けを送り。

「君を、マスターと認めよう。よろしくね、鷹通」

友雅の淑女に対するような行動と、いきなりの契約完了の言葉に、鷹通は、呆気にとられてしまった。
その表情を楽しげに眺める友雅。
あまりの唐突の出来事に、幸鷹もその場を動くことも出来ずただ見守ることしか出来なかった。
ドラゴン。
それは魔界でも魔族の次に最強を誇るといわれる種族。
その証拠に、幸鷹が敷いた結界陣は綺麗に消し飛ばされている。
そんな種族が、一介の術者の召喚術に応じ、さらには契約を交わしてしまうなんて事は、前例のないことだ。
魔界では精神的なものが力を発揮する、それは言葉も然り。
そんな世界の住人が、自ら主従を契ったのだ。
この先の、鷹通のたどる運命を懸念して、幸鷹は頭痛を覚えた。
そんなことなど及びもつかず、ただ目の前の友雅に見とれている鷹通。

鷹通の、波乱万丈な魔術師としての人生は、たった今、始まったばかりだ。


END

***** あとがき。*****************************************

こちらではじめて私の書くものをご覧になった方には初めてでしょうけど・・・。
相変わらず尻切れトンボですみません。これ以上長くするのはどうかとも思いまして・・・。(汗)<今のままでも随分長いですが
実はちょっと前から考えていた人外魔境モノPart 2です。(苦笑)
タイトルは率直にしたら、某小説とかぶってしまいましたが、そちらとはまったく持って関係ありませんのでアシカラズ。

こ、こんなのってあり、なんですかねぇ・・・?

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