徒然のんべんだらり、気の向くまま萌の赴くまま。 二次創作BL中心、腐女子バンザイ乱行三昧。 |
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創作の小話です。
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。
遙かなる時空の中で1&2、地×天で欧風パラレルです。
全年齢対象だとは思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。
遙かなる時空の中で1&2、地×天で欧風パラレルです。
全年齢対象だとは思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)
【 Freez My Love 】
同じ月が照らしている、君と僕の違う人生。
赤い月が、ゆっくりと空に昇る。
皓々と照らされた夜は、陰影を深くして。
常よりさらに魔を躍らせる。
血塗られた月は、魔力の証。
暗い礼拝堂の中を、ステンドグラスが月光を受けて、鮮やかに照らし出す。
くっきりと、光と闇を。
降り注ぐ虹色を受けとめるのは、モノトーンの神父。
乱れたカソックから覗く肌に、浮かぶガラスのマリアが、背徳という文字を、体現してでもいるかのように見える。
・・・ギィ。
軋む門扉。
月はまだ、中天を過ぎてはいない。
言い交わしたわけではないが、暗黙の了解となった訪問。
しかし、まだ、約束の刻限には早い。
それもそのはず、現れたのは待ち人ではなかった。
「何だ、まだ生きていたのかい」
「ご挨拶だね」
闇に浮かぶ鮮やかな美貌。
それはまるで合わせ鏡。
唯一違うのは、海のようにうねる髪と、滝のように流れる髪。
訪問者はゆっくりと手近な長椅子の背もたれに腰を下ろした。
「今まではね、死ぬ理由がなかったから、生きてきたが。今は死ねない理由が出来てね」
「ずいぶんと、らしくないじゃないか」
「それをお前が言うかねぇ?」
カソックを羽織り、煙草に火を点ける男に、訪問者は小さく笑った。
勧められた煙草を、身振りで断り、相手を仰ぎ見る。
艶然と微笑む男は、場違いもはなはだしいが、曲りなりにもこの教会の神父だ。
『詐偽、窃盗、凶殺、姦淫若しくは他の不潔なる行為をなすべからず』とはよく言ったものだ。
目の前の男は、それを説くべき人物であるにもかかわらず、おおよそすべてに精通している。
そんな男にらしくないなどと、言われたくはないものだ。
「それで、何の用かね」
「いや何、らしくないと言うお前の、もっともらしくない姿を笑いに来たのだよ」
「ふん、相変わらず悪趣味だね。解っているなら帰りたまえ」
「私には、君の姫君を見せてはくれないの?」
「お前には、もったいないよ。浄化されたくなくば、さっさと帰ることだ」
気だるげに髪をかきあげる神父の言葉に、ゆるい棘が立つ。
やれやれ、といった風情で訪問者は肩をすくめ、腰を上げた。
この神父の不快を買っては、互いに無事ではすまないだろう。
手合わせはしたことがなかったが、薄々お互いにそうであろうと感じるものがある。
「せっかく、君の姫君に会えるかと思ったのだが、残念だね。彼はダムピールの割りに、血が濃いね。隔世遺伝かな?」
「・・・」
ギィ・・・。
再び扉の軋む音がする。
扉が開き、明るい月明かりが、講堂に差し込む。
四角く切り取られた闇の中に、すらりとした影が浮く。
逆光で影のさした顔から、表情はうかがい知れない。
だが、その中で、一対の金色とも緋色ともつかない瞳だけが、艶やかに輝きを放っていた。
「やぁ。良い月夜だね、可愛い人」
銜え煙草のまま、そちらに瞳を向け、神父は優雅に微笑んだ。
先ほどまで喋っていた訪問者は、影も形もなくなっていた。
END
同じ月が照らしている、君と僕の違う人生。
赤い月が、ゆっくりと空に昇る。
皓々と照らされた夜は、陰影を深くして。
常よりさらに魔を躍らせる。
血塗られた月は、魔力の証。
暗い礼拝堂の中を、ステンドグラスが月光を受けて、鮮やかに照らし出す。
くっきりと、光と闇を。
降り注ぐ虹色を受けとめるのは、モノトーンの神父。
乱れたカソックから覗く肌に、浮かぶガラスのマリアが、背徳という文字を、体現してでもいるかのように見える。
・・・ギィ。
軋む門扉。
月はまだ、中天を過ぎてはいない。
言い交わしたわけではないが、暗黙の了解となった訪問。
しかし、まだ、約束の刻限には早い。
それもそのはず、現れたのは待ち人ではなかった。
「何だ、まだ生きていたのかい」
「ご挨拶だね」
闇に浮かぶ鮮やかな美貌。
それはまるで合わせ鏡。
唯一違うのは、海のようにうねる髪と、滝のように流れる髪。
訪問者はゆっくりと手近な長椅子の背もたれに腰を下ろした。
「今まではね、死ぬ理由がなかったから、生きてきたが。今は死ねない理由が出来てね」
「ずいぶんと、らしくないじゃないか」
「それをお前が言うかねぇ?」
カソックを羽織り、煙草に火を点ける男に、訪問者は小さく笑った。
勧められた煙草を、身振りで断り、相手を仰ぎ見る。
艶然と微笑む男は、場違いもはなはだしいが、曲りなりにもこの教会の神父だ。
『詐偽、窃盗、凶殺、姦淫若しくは他の不潔なる行為をなすべからず』とはよく言ったものだ。
目の前の男は、それを説くべき人物であるにもかかわらず、おおよそすべてに精通している。
そんな男にらしくないなどと、言われたくはないものだ。
「それで、何の用かね」
「いや何、らしくないと言うお前の、もっともらしくない姿を笑いに来たのだよ」
「ふん、相変わらず悪趣味だね。解っているなら帰りたまえ」
「私には、君の姫君を見せてはくれないの?」
「お前には、もったいないよ。浄化されたくなくば、さっさと帰ることだ」
気だるげに髪をかきあげる神父の言葉に、ゆるい棘が立つ。
やれやれ、といった風情で訪問者は肩をすくめ、腰を上げた。
この神父の不快を買っては、互いに無事ではすまないだろう。
手合わせはしたことがなかったが、薄々お互いにそうであろうと感じるものがある。
「せっかく、君の姫君に会えるかと思ったのだが、残念だね。彼はダムピールの割りに、血が濃いね。隔世遺伝かな?」
「・・・」
ギィ・・・。
再び扉の軋む音がする。
扉が開き、明るい月明かりが、講堂に差し込む。
四角く切り取られた闇の中に、すらりとした影が浮く。
逆光で影のさした顔から、表情はうかがい知れない。
だが、その中で、一対の金色とも緋色ともつかない瞳だけが、艶やかに輝きを放っていた。
「やぁ。良い月夜だね、可愛い人」
銜え煙草のまま、そちらに瞳を向け、神父は優雅に微笑んだ。
先ほどまで喋っていた訪問者は、影も形もなくなっていた。
END
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