徒然のんべんだらり、気の向くまま萌の赴くまま。 二次創作BL中心、腐女子バンザイ乱行三昧。 |
創作の小話です。
お題サイトからお題をお借りしました。
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。
全年齢対象だとは思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)
これは2パターンあるうちの、忍人バージョン。
相手は、風早です。
お借りしたのは下記サイトから。
10の約束(http://studiochaos.web.fc2.com/)
(遙か花街より再録)
【01 大きくなったら結婚しようね(忍人ver.)】
夢を見ていたような気がする。
やさしくて、だからこそ切ない夢。
あれはいつかの過去だったのか、ただの夢だったのか。
おだやかなこの橿原では、あまりにも曖昧で。
降り注ぐ木漏れ日に、目を細め、太陽に手をかざす。
夢は、太陽のようだ。
あたたかくまぶしく、触れられそうなのに決して手が届かない。
どんなに手を伸ばしても、降り注ぐ光はさらさらと指の間から零れ落ちていく。
「大きくなったら結婚しようね、か・・・」
「ケッコンとは何だ」
夢の中で交わされた幼い約束。
それを反芻するようにほろりとこぼれた声に、不意に問いかける声がかかった。
淡い木漏れ日の中にくっきりと像を結ぶ、幼くも凛とした姿に、自然と頬が緩む。
幾たびも繰り返される螺旋の中で、夢と現の境界線が曖昧になる時がある。
そんな時、鮮やかな彼の姿は自分が今、現にいるのだと感じさせてくれる。
「聞いているのか?」
「聞いてるよ」
問いに返事がないことに拗ねたのか、少し尖った声が自分を責めた。
その声に、責められているのに微笑んでしまう。
今、自分はここにいる。
今、彼はここにいる、と確認できて。
「ならば答えたらどうなんだ」
「結婚はね、ずっと一緒にいるっていう約束のことだよ」
「そうなのか? 聞いたことのない言葉だ。お前の族の言葉なのか?」
「まぁ、そんなとこかな」
俺の言葉に不思議そうに、そうなのか、と彼は答えた。
彼のその素直さに、少しだけ意地悪をしたくなってしまう。
いや、彼の真っ直ぐさに甘えたくなったとでも言うべきか。
彼ならきっと、ずっと一緒にいてくれると言ってくれそうで。
いつか別れなければならない運命にあると自分は知っているけれど、それでもずっと一緒にいてくれるといって欲しかった。
「ねぇ、忍人。大きくなったら俺と結婚しませんか?」
「・・・また子ども扱いする気か」
「そんなつもりじゃないよ」
「ならば、どういうつもりだ。今さら約束など交わさずとも、俺もお前もずっと一緒だろう?」
「・・・」
予想通りの言葉に、目頭が熱くなる。
真っ直ぐに揺らぎなくぶつけられる彼の心があたたかく、嬉しかった。
「・・・どうした? おい、何で泣くんだ」
「何でもありませんよ」
自分よりも幾つも年上の男が泣くさまなど、あまり見たことがないのだろう。
忍人はうろたえたように俺の頬に手を伸ばす。
少し丈の余っている袖口で、懸命に涙を拭ってくれる。
その俺よりもずっと小さな手を握りこんで、彼の命を感じる。
まだ時はきていない。
彼の手は血に染まっていない。
この手は時がくれば太刀を握り、道を切り開く強い手になる。
だけどまだその時ではない。
まだ柔らかさを残すその手を握り締め、約束が叶えられないことに、俺は涙を流した。
―終―
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やっぱ収拾つかない。でも上げちゃうダメな人。