徒然のんべんだらり、気の向くまま萌の赴くまま。 二次創作BL中心、腐女子バンザイ乱行三昧。 |
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創作の小話です。
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。
遙かなる時空の中で3、景時←譲で鎌倉編です。
全年齢対象だと思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。
遙かなる時空の中で3、景時←譲で鎌倉編です。
全年齢対象だと思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)
【 薊野 】
この世界で、俺にできること。
「・・・ん」
葉擦れのような音に気が付くと。
そばで寝ていたはずの景時さんがいなくなっていた。
さやさやと、元の世界では感じることのなかった風の音と。
遠く、近く、虫の音が聞こえるだけの静かな夜。
月が冴え冴えと、眠る俺たちを照らしていたけれど。
何故だか妙に、その光景がもの寂しいものに見えて。
知らず、景時さんを探して腰を上げていた。
どうしても、こんな夜に、彼を一人にはしておけないと。
そんな気がして。
かちりかちりと。
あたりに不似合いな小さな金属音がして。
程なく彼は見つかった。
俺たちが寝ていたあたりから、さほど離れていない、木の上に。
「景時さん」
「あれっ、譲君?」
声をかけると、驚いたように俺を見て。
するすると木から降りてきて、申し訳なさそうに、彼は笑った。
「起こしちゃった? ごめんね~」
「いえ・・・。それよりも、景時さんこそ、眠らなくていいんですか」
「え~、俺はちゃんと眠ったよ? 譲君こそ、眠らなきゃ。慣れない山越えで疲れてるでしょ?」
いつものおどけたような調子で。
少し首をかしげて促すように、彼は言うけれど。
それに対して、俺は素直に返事はできなくて。
あんな、苦しそうな顔で眠っておいて。
どう考えても浅そうな眠りで。
眠ったなんて、そんなこと。
「疲れているのは景時さんも同じでしょう」
「俺は大丈夫だよ。ほら、こう見えても軍奉行だし?」
「ふざけないでください!」
「あ、ちょっと。みんな寝てるんだから、大きな声出さないで」
「・・・」
「もう少し、離れようか」
景時さんに促されて、少しみんなのそばから離れる。
視界から眠っている彼らの姿が消えてしまわない程度に。
何が起こるかわからない、戦国の世で。
それは安全を図るための、予防策。
「・・・景時さん」
「本当に、俺は大丈夫だから」
先程のおどけた様子とは違う、笑顔で。
俺を眠らせるために、そうしていると解るのだけれど。
そんな悲しそうな、苦しそうな笑顔を見せられて。
引き下がることなんて、できるわけが。
「あんな、苦しそうに眠っておいて。眠ったなんて・・・」
「え、俺、苦しそうだった?」
口に出すべきではないと、思っていたけれど。
長く、この世界で暮らしてきたならば。
彼のような立場ならば、思うことはいろいろあるだろうから。
だから、俺のようなものが口を出すべきではないと思っていたけれど。
「どうしたら、景時さんは安心して眠れますか?」
「・・・譲君」
「俺は力はないし、この世界のことなんてほとんど解ってないけど」
「・・・俺ね、眠るのが怖いんだ」
「え」
「眠るとね、周りで何が起きても解らないでしょ。起きてれば何とかなることでも眠ってたら何もできないから」
かしゃん、と彼の武器である銃から弾装がはじき出される。
それは音もなく、彼の手の平に収まって。
弾装を握り締める彼の手が、悲しそうに笑顔を浮かべる彼の心を代弁するように。
小さく、震えていた。
「それに、眠ると声が。・・・声が、俺を呼ぶんだよ」
誰の、とは言わなかった。
いや、言えないほどのたくさんの声なのだろう。
この、生と死が隣り合わせの世界では。
自分を、誰かを生き延びさせるためには、代わりに投げ出す命が必要で。
そのために、彼が手にかけてきた命たちの声が、彼を苛むのだろう。
景時さんは、極力、俺や先輩を、人間のいる戦場から遠ざけてくれている。
それは、彼の優しさ。
俺たちに、『人を殺す』ということをさせないために。
自分の手がどんなに血に染まろうとも、俺たちを守ろうとしてくれている。
それが、夜毎自分を苛む声を増やすことになると、解っていながら。
「・・・ごめんね、こんなこと、言ってさ。情けないよね~」
子供にするように、笑顔を浮かべ俺の頭を軽く撫でて。
しかし笑顔を浮かべても、その中に潜む苦痛が見えると悟ったのだろう。
その瞳は、伏せられていた。
どうして。
「俺には、何もできないんですか」
どうしてそんなにも、あなたは優しいのだろう。
何故すべて一人で背負い込もうとするのだろう。
「俺は、守られるだけの人間じゃない。力がないのは解っています。それでも」
「譲君?」
困惑したように、伏せられた瞳が開き、深い森の色が動揺を浮かべる。
「俺はあなたの対だ。あなたが何かを背負うなら、俺も半分背負います」
言葉には混ぜない。
混ぜてしまえば、やさしいあなたはきっと拒絶するから。
だから、俺が言っているのは、今ある目の前の。
先輩や、目に見える人たちだけのことだと。
そう錯覚させるために。
「一人で眠るのが怖いなら、そばにいます。決して一人になんてさせない」
あなたが背負う、たくさんのものを。
浮かべる笑顔で隠してしまう、虚言の中に混ぜられた弱い心を。
「見る夢が苦痛なら、俺が起こしてあげますから」
だから、一人で苦しまないで。
俺はあなたの対。
片方だけでは存在し得ない、一塊のもの。
「譲君・・・」
一瞬、泣いてしまいそうな、そんな色が浮かんだように思った。
俺を呼んだ声音に含まれた感情は、一体なんだったのだろう。
しばらくの沈黙の後。
「じゃぁ、甘えちゃおっかなぁ」
「え、ちょっ・・・」
ことさら明るい声で、彼が俺に凭れかかってきた。
けれど、その声には含むものは感じられず。
陰陽術で、花火を上げて見せてくれた、あの無邪気さで。
肩口に頭を乗せて、静かに彼の瞼が下りていった。
「・・・景時さん?」
「・・・鼓動が聞こえる・・・」
「そりゃ、生きてますからね」
「うん、あったかいね」
柔らかい声。
けれど、頼りなげな幼子のそれにも聞こえる声。
「俺でよければ、いつでも。肩でも腕でも貸しますよ」
「うん・・・、ごめんね。・・・でも・・・、・・・」
「景時さん?」
「・・・」
肩にかかる重みが増える。
そして、安らかな寝息。落ちかかる、疲れた顔色。
この人は、眠るときも、気が休まることがなかったのだろう。
いつも何か失うことに怯え、己の手で消していったものたちの声に追い立てられていたのだろう。
そして、これからもそれに怯え、追い立てられるのだろう。
それでもなお。
「俺に、あなたの半分を、背負わせてくれませんか」
眠ったものにかけても詮無いことだと解ってはいても。
それでも意識のあるあなたに言えば、拒絶されるから。
あなたに拒絶されたくはないから。
だからそっと。
「あなたの半分を、背負わせてください」
懇願にも近い囁きを。
「あなたを、守らせてください」
見知らぬこの世界で、俺にできること。
それはほんの少ししかないけれど。
それでも。
一時でも、あなたが安心して眠れるならば。
彼の重さとぬくもりを感じながら。
俺はまどろみの中で。
赤い、薊野に一人立つ、景時さんを見た。
END
***** あとがき。*****************************************
突っ込みどころ満載でごめんなさい。すでにタイトルからして謎だらけですよね・・・。さらにラストで追い討ちかけてますが。(汗) 薊野は言葉のとおり、アザミの野原です。駅の名前じゃありません。(笑)<あるんですよ、そういう駅
ただ単に、悪夢に魘されてる景時さんに、譲君が肩を貸してあげて眠る、そのシーンを書きたいがために書きはじめたんですが。当初の目論見を余所にお話が一人歩きしてしまったようで。何だかとてつもなく暗い話になってますね。そしてこの話だけじゃ意味がわからない。(汗)
続編、みたいなものはちょっと考えてるんですが、収拾が付かない、かも・・・。せめてラストの夢の意味くらいの説明は、書かないといけないかなぁと思ってはいるのですが、後々お話書くかも知れないかと思うと、ここで説明するのははばかられたり。まぁ、あまり大した伏線はないのですが。<何せ書き手が鶏頭だから
この二人は、どう描いていくべきか、考えどころではありますが、翡幸とは違った意味で、暗いお話が多くなりそうな予感もっさりです。<書く気か(爆)
この世界で、俺にできること。
「・・・ん」
葉擦れのような音に気が付くと。
そばで寝ていたはずの景時さんがいなくなっていた。
さやさやと、元の世界では感じることのなかった風の音と。
遠く、近く、虫の音が聞こえるだけの静かな夜。
月が冴え冴えと、眠る俺たちを照らしていたけれど。
何故だか妙に、その光景がもの寂しいものに見えて。
知らず、景時さんを探して腰を上げていた。
どうしても、こんな夜に、彼を一人にはしておけないと。
そんな気がして。
かちりかちりと。
あたりに不似合いな小さな金属音がして。
程なく彼は見つかった。
俺たちが寝ていたあたりから、さほど離れていない、木の上に。
「景時さん」
「あれっ、譲君?」
声をかけると、驚いたように俺を見て。
するすると木から降りてきて、申し訳なさそうに、彼は笑った。
「起こしちゃった? ごめんね~」
「いえ・・・。それよりも、景時さんこそ、眠らなくていいんですか」
「え~、俺はちゃんと眠ったよ? 譲君こそ、眠らなきゃ。慣れない山越えで疲れてるでしょ?」
いつものおどけたような調子で。
少し首をかしげて促すように、彼は言うけれど。
それに対して、俺は素直に返事はできなくて。
あんな、苦しそうな顔で眠っておいて。
どう考えても浅そうな眠りで。
眠ったなんて、そんなこと。
「疲れているのは景時さんも同じでしょう」
「俺は大丈夫だよ。ほら、こう見えても軍奉行だし?」
「ふざけないでください!」
「あ、ちょっと。みんな寝てるんだから、大きな声出さないで」
「・・・」
「もう少し、離れようか」
景時さんに促されて、少しみんなのそばから離れる。
視界から眠っている彼らの姿が消えてしまわない程度に。
何が起こるかわからない、戦国の世で。
それは安全を図るための、予防策。
「・・・景時さん」
「本当に、俺は大丈夫だから」
先程のおどけた様子とは違う、笑顔で。
俺を眠らせるために、そうしていると解るのだけれど。
そんな悲しそうな、苦しそうな笑顔を見せられて。
引き下がることなんて、できるわけが。
「あんな、苦しそうに眠っておいて。眠ったなんて・・・」
「え、俺、苦しそうだった?」
口に出すべきではないと、思っていたけれど。
長く、この世界で暮らしてきたならば。
彼のような立場ならば、思うことはいろいろあるだろうから。
だから、俺のようなものが口を出すべきではないと思っていたけれど。
「どうしたら、景時さんは安心して眠れますか?」
「・・・譲君」
「俺は力はないし、この世界のことなんてほとんど解ってないけど」
「・・・俺ね、眠るのが怖いんだ」
「え」
「眠るとね、周りで何が起きても解らないでしょ。起きてれば何とかなることでも眠ってたら何もできないから」
かしゃん、と彼の武器である銃から弾装がはじき出される。
それは音もなく、彼の手の平に収まって。
弾装を握り締める彼の手が、悲しそうに笑顔を浮かべる彼の心を代弁するように。
小さく、震えていた。
「それに、眠ると声が。・・・声が、俺を呼ぶんだよ」
誰の、とは言わなかった。
いや、言えないほどのたくさんの声なのだろう。
この、生と死が隣り合わせの世界では。
自分を、誰かを生き延びさせるためには、代わりに投げ出す命が必要で。
そのために、彼が手にかけてきた命たちの声が、彼を苛むのだろう。
景時さんは、極力、俺や先輩を、人間のいる戦場から遠ざけてくれている。
それは、彼の優しさ。
俺たちに、『人を殺す』ということをさせないために。
自分の手がどんなに血に染まろうとも、俺たちを守ろうとしてくれている。
それが、夜毎自分を苛む声を増やすことになると、解っていながら。
「・・・ごめんね、こんなこと、言ってさ。情けないよね~」
子供にするように、笑顔を浮かべ俺の頭を軽く撫でて。
しかし笑顔を浮かべても、その中に潜む苦痛が見えると悟ったのだろう。
その瞳は、伏せられていた。
どうして。
「俺には、何もできないんですか」
どうしてそんなにも、あなたは優しいのだろう。
何故すべて一人で背負い込もうとするのだろう。
「俺は、守られるだけの人間じゃない。力がないのは解っています。それでも」
「譲君?」
困惑したように、伏せられた瞳が開き、深い森の色が動揺を浮かべる。
「俺はあなたの対だ。あなたが何かを背負うなら、俺も半分背負います」
言葉には混ぜない。
混ぜてしまえば、やさしいあなたはきっと拒絶するから。
だから、俺が言っているのは、今ある目の前の。
先輩や、目に見える人たちだけのことだと。
そう錯覚させるために。
「一人で眠るのが怖いなら、そばにいます。決して一人になんてさせない」
あなたが背負う、たくさんのものを。
浮かべる笑顔で隠してしまう、虚言の中に混ぜられた弱い心を。
「見る夢が苦痛なら、俺が起こしてあげますから」
だから、一人で苦しまないで。
俺はあなたの対。
片方だけでは存在し得ない、一塊のもの。
「譲君・・・」
一瞬、泣いてしまいそうな、そんな色が浮かんだように思った。
俺を呼んだ声音に含まれた感情は、一体なんだったのだろう。
しばらくの沈黙の後。
「じゃぁ、甘えちゃおっかなぁ」
「え、ちょっ・・・」
ことさら明るい声で、彼が俺に凭れかかってきた。
けれど、その声には含むものは感じられず。
陰陽術で、花火を上げて見せてくれた、あの無邪気さで。
肩口に頭を乗せて、静かに彼の瞼が下りていった。
「・・・景時さん?」
「・・・鼓動が聞こえる・・・」
「そりゃ、生きてますからね」
「うん、あったかいね」
柔らかい声。
けれど、頼りなげな幼子のそれにも聞こえる声。
「俺でよければ、いつでも。肩でも腕でも貸しますよ」
「うん・・・、ごめんね。・・・でも・・・、・・・」
「景時さん?」
「・・・」
肩にかかる重みが増える。
そして、安らかな寝息。落ちかかる、疲れた顔色。
この人は、眠るときも、気が休まることがなかったのだろう。
いつも何か失うことに怯え、己の手で消していったものたちの声に追い立てられていたのだろう。
そして、これからもそれに怯え、追い立てられるのだろう。
それでもなお。
「俺に、あなたの半分を、背負わせてくれませんか」
眠ったものにかけても詮無いことだと解ってはいても。
それでも意識のあるあなたに言えば、拒絶されるから。
あなたに拒絶されたくはないから。
だからそっと。
「あなたの半分を、背負わせてください」
懇願にも近い囁きを。
「あなたを、守らせてください」
見知らぬこの世界で、俺にできること。
それはほんの少ししかないけれど。
それでも。
一時でも、あなたが安心して眠れるならば。
彼の重さとぬくもりを感じながら。
俺はまどろみの中で。
赤い、薊野に一人立つ、景時さんを見た。
END
***** あとがき。*****************************************
突っ込みどころ満載でごめんなさい。すでにタイトルからして謎だらけですよね・・・。さらにラストで追い討ちかけてますが。(汗) 薊野は言葉のとおり、アザミの野原です。駅の名前じゃありません。(笑)<あるんですよ、そういう駅
ただ単に、悪夢に魘されてる景時さんに、譲君が肩を貸してあげて眠る、そのシーンを書きたいがために書きはじめたんですが。当初の目論見を余所にお話が一人歩きしてしまったようで。何だかとてつもなく暗い話になってますね。そしてこの話だけじゃ意味がわからない。(汗)
続編、みたいなものはちょっと考えてるんですが、収拾が付かない、かも・・・。せめてラストの夢の意味くらいの説明は、書かないといけないかなぁと思ってはいるのですが、後々お話書くかも知れないかと思うと、ここで説明するのははばかられたり。まぁ、あまり大した伏線はないのですが。<何せ書き手が鶏頭だから
この二人は、どう描いていくべきか、考えどころではありますが、翡幸とは違った意味で、暗いお話が多くなりそうな予感もっさりです。<書く気か(爆)
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