【 遙か２ 小噺 】 夜明け前。

創作の小話です。
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。

遙かなる時空の中で２、翡翠×幸鷹で遊郭パロディです。
全年齢対象だとは思いますが・・・。
（BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが）

（遙か花街より再録）

【夜明け前】



窓から、遠く霞む景色が少しずつ、色を帯びていくのが見える。
幸鷹はそれをぼんやりと見ながら、管煙箱を手繰った。
火を付け口に運ぼうとすると、横からそれを奪われた。

「お止め。もともと好きではないだろう？」

先程まで眠っていた翡翠が、そう言って幸鷹の膝に再び寝転んだ。
管煙箱は遠くに押しやられ、翡翠に膝に寝転ばれては動くに動けない。
幸鷹は、また見るともなしに外を眺めた。
だらしなく座っていたせいで崩れ、割れた裾に翡翠の髪が滑り込んでくすぐったい。
幸鷹は思う。
翡翠は自分に何を求めているのだろうかと。
まだ、まともに座敷に上がったこともない、白衿だった自分を気に入って買ってくれたという男。
何くれともなく、世話を焼いてくれたり、贈り物をくれる男。
だのに、必要以上に触れてこない男。
ここは陰間茶屋だ。
気に入るという事は、つまりそういうことをしたいということのはず。
だから幸鷹は三度目に翡翠に呼ばれた時に覚悟を決めていた。
だが、翡翠は幸鷹に酌をさせ、たわいない話をするだけだった。
頭を撫でられたり、膝枕をさせられたり、抱きしめられたりして眠る事はあったけれど、翡翠はそれ以上幸鷹に触れようとはしなかった。
そんな日が、もう一年以上続いている。
幸鷹はまた、外を眺めた。
朝日が、ゆっくりとその姿を現し始めている。
夜が明けるのが恨めしいとは思わない。
夜が明けようと明けまいと、幸鷹には関係ないからだ。
人は、夜が明ければ僅かな契りの時間が終わってしまうと歎くが、幸鷹にはいつだろうとそんな惜しむ時間はないから。

「私は、いったいお前の何なんですか」

ふと、そんな疑問が口を突くが、それに答えるはずの男は深い眠りの中だ。
少し疲れたように眠る翡翠の髪をゆるく梳きながら、幸鷹は太陽が昇るのをぼんやりと眺め続けた。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-　了　-

**************************************************

幸ちゃん翡翠さんを誘惑するの巻ってな感じで。
資料探ししてみようかなぁ…。
しかし、他の白虎を入り交じらせると話がややこしくなる上に長くなるんですよね。
特に３白虎が絡むとややこしさ８割増になる私。
３白虎の理解が足りないということでしょうか…。（汗）

こんな感じに悶々としてる陰間の幸ちゃんの話がちゃんと書きたいんですが、ホント資料がなくって。
陰間の資料どころか、遊郭の資料もなくて、書くに書けない…。
嘘八百並べ立てるのも気が引けますしね…。