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徒然のんべんだらり、気の向くまま萌の赴くまま。
二次創作BL中心、腐女子バンザイ乱行三昧。
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創作の小話です。
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。

遙かなる時空の中で1~3、地×天パラレルです。
全年齢対象だとは思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)

【 太陽の瞳、月の声 】


瞳には力がある。
それは人を従わせる支配のものであったり、人を恐れさせる畏怖のものであったり、人を惹きつける魅了のものであったり。
瞳には、さまざまな力がある。
声もまた然り。
人それぞれに力の大小、発現の仕方は違うが、みな一様にその力は持っている。




―13年前。

「菫姫、本当によろしいのですか」

庭で弟とともに遊ぶ、遠縁の幼子を見やりながら、幸鷹は目の前の品のよい婦人を見上げた。
姫というには年嵩の女性は、憂いを秘めた瞳で己の孫を見やった。

「親元から離すのは、この子には酷かもしれませんが、この方がいいのです。姫であったなら、このままでも構わなかったけれど」

「ですが、それは私の一族とて同じです」

「でも、こちらの一族は皇子でも姫でも同じように扱われるでしょう? それに、一族のものでも発現するものとしないものがいらっしゃる。だけれど、私の一族はそうは行かない。力は一族の中で、そして他からも重く扱われる」

無邪気に遊ぶ孫は、己を凌ぐほどの力を秘めているかもしれない。
薄れかけて来た自分の力でも、それが解る菫姫は、幼い孫を一族から隠そうとしていた。
誰よりも純粋で一途なこの孫が、一族の重責と忌避から歪んでしまわないように。
彼女が年を経てなお、姫と呼ばれるにはそれ相応の理由がある。
それは古くから脈々と続く血の中に流れる力。
星を読み、気の流れを読み、先を読む、星の一族の巫女姫ゆえに。
その力は、彼女の娘よりも色濃く、孫の譲に受け継がれた。
まだそのことに気づいているものは、菫姫以外にいない。
だから今のうちにと、菫姫は遠縁に当たる幸鷹のもとを訪れた。
遠縁とはいえ、同じく特殊な力を持つ家柄同士、何かと親交があったからだ。
そして、孫と、この幸鷹、そしてその弟は面差しがよく似通っている。
だから、譲の物心がつく前にと、いまだ幼さを残しながらも聡明な遠縁の少年を頼ってきた。

「どうか譲を、よろしくお願いします」

「菫姫、顔を上げてください」

深々と頭を下げる婦人に、幸鷹はあわてるようにその傍らに寄り、手を取り膝をつき、彼女を見上げた。
そして安心させるように、微笑んだ。

「私にどれだけのことが出来るか解りませんが、譲を守って見せます。あの子は、私の"弟"ですから」

「幸鷹殿。ありがとうございます」




―7年前。

夕闇が迫る海辺を、幸鷹は当てもなく歩いていた。
自分が旅回りで立ち寄ったからと、もてなしてくれる心は嬉しいのだが、幸鷹自身は無駄ににぎやかなその宴が苦手だった。
だからこっそりと抜け出し、近場の海を歩いた。
ああいった手合いの宴は、騒ぐことが主体であって、主賓がいなくなったとて差し障りがない。
波音だけの海岸は、普段何かと人付き合いの絶えない幸鷹にとってひどく心地よかった。
暫く歩いて、近場にある岩に腰を下ろし、心地よい波音と海風に身を任せていると、不意に目の前の夕闇が濃さを増した。

「君のような子がこんな時間に一人で出歩くなど、無用心というものだよ」

陰の主が耳に心地よい声で、幸鷹に語りかけた。
声の主に視線を移せば、長い髪を風に遊ばせたままの男が、幸鷹を見下ろしていた。
夕闇で、その表情はうかがい知れなかったが、声の中に揶揄のようなものが混じっている。

「物取りが目的なら、見当外れです。生憎と私は身ひとつで出てきていますからね」

「別にモノでなくても、人を売るということも考えられるよ」

「男の私では、二束三文にもなりはしないでしょう」

「君は自分の価値が解っていないようだね。暫く、じっとしておいで」

どういうことだと聞き返そうと相手を伺い見ると、宝石のような瞳が自分を見ていた。
その瞳に、吸い込まれそうだと追う思ったとき、相手の言葉に体の自由が奪われた。
それは、長いように感じられたが一瞬の出来事だったのか。
不意に、口唇にあたたかな感触。
さきほどあったばかりの見知らぬものに口付けられているということに困惑し、逃れようとしても、自由の聞かぬ体ではそれもかなわず、幸鷹はされるがままだった。
はじめ触れるだけだった口付けは、啄ばむように口唇を食み、息苦しさに口を開けば、易々と舌が入り込み中を蹂躙していく。

「ん・・・、ふ」

眩暈にも似た感覚が体に起こり、身の内から熱が沸き起こるような感覚に幸鷹が戸惑いを覚えた瞬間、あっさりと口唇は離れていった。
いつの間にか、体は自由になっていたようで、知らず相手に縋るように男の袖を握っていた手を、幸鷹はとっさに離した。

「ではまたね、可愛い人」

その様子を楽しそうに眺めた男は、小さく笑い、踵を返した。
そして振り返ることもなく、幸鷹を置いて去っていった。
あまりの唐突な出来事に、呆然としていると、急に目に熱が集まった。
ちりちりと燻るような痛みとともに、涙にも似た雫が一筋流れた。
今まで見えていなかったものが見えてくる、朧げな感覚。
しかし幸鷹は、それが何なのか理解するよりも先に本能的に悟った。




―6年前。

「君の瞳は、まるで太陽のようだね」

「・・・あなたは」

艶のある声を急にかけられて、鷹通は驚きに目を瞠った。
声のしたほうを振り向けば、木漏れ日の中に、優しく微笑む鮮やかな人物が立っていた。
まるで、花のように美しい人。
男性を評するにはいささかおかしな言葉だが、それ以外に思いつかなかった。
実際に見えるのは初めてだったが、鷹通はこの人物を知っていた。
どこからともなく噂に載ってくる、社交界の中の浮名の人。
会うことこそなかったが、鷹通はその誠実さのない噂のこの人物が苦手だった。
その人物との突然の対面で、鷹通は少々困惑した。
だが、そんな様子もお構いなしに、噂の人物、友雅は、少し屈んで優雅に微笑み、頭二つほど小さい鷹通に視線を合わせた。

「君が、藤原邸の幸鷹殿、かな。いや、噂に違わず愛らしいね」

「・・・いえ。私はその弟の鷹通です。私はまだ発現していないので、瞳を評価したところで、何も出ませんよ」

甘く響く声に、有無を言わさず頷かされそうになり、だが彼の考えを正すように鷹通は声を出した。
彼が言うのは、歴代一族の中でも、特出した力を発現した兄のことだったからだ。
その兄を誇らしく思いつつも、面差しのよく似た兄に間違われるのは、いささか鷹通を不愉快にした。
兄を慕っているのは間違いない事実だが、その兄と混同されることを鷹通は厭っていた。
一族の、いやそれ以外のものでさえ、似通った鷹通に同じ力の発現を望んで期待をかけ、そしてそれはいまだ力の発現していない鷹通にとって重責になっていたからだ。
そのことを知ってかしらずか、友雅は別段どうしたこともないようにつぶやいた。

「ふぅん。まぁ、力がほしいわけではないから別に構わないが。だが、力などなくても、君に興味があるといったら、君はどうする?」

その言葉に、鷹通は一瞬胸を衝かれた。
力など関係なく、鷹通自身が気になる、というその言葉に。
わけもなく、鼓動が早鳴るような感覚に、鷹通は困惑した。
その様を楽しむように、友雅は微笑んで、鷹通の髪を一房つかみ、口付け、また小さく笑った。
その姫君対するような仕草に、鷹通の顔に一気に熱がともり、鷹通はとっさにその手を振り払っていた。

「お戯れは止してください」

そういって、乱暴な仕草は好むところではないのにやってしまった己自身に当惑しながら、鷹通はその場を後にしていた。
暫く、わき目も振らず走って、そうして不意に空を見上げたとき、その目を焼いた光に、鷹通は声を漏らしていた。
一雫、涙がその頬を濡らしたことに、己の異変を知る。
今まで見ていたはずの世界の色が、どことなく違って見えたことに。
そして、そのことによって、鷹通は翌日から、眼鏡をかけ始めた。
それは、兄の的確な判断によって。

「おや、目を悪くしたのかい? まぁ、眼鏡をかけた君もストイックで可愛いがね」




―そして現在。

藤原邸には、真理を見通し人を魅了する強い力を持った瞳を持つ幸鷹と、それには及ばずとも人に安らぎをもたらす柔らかな瞳を持つ弟の鷹通、そして何の力も発現しない末の譲が穏やかに暮らしている。
彼らに転機が訪れるのは、もうすぐ。


END

***** あとがき。*****************************************

・・・尻切れトンボ、というか何も始まってなくってすみません。
いつか書ければなーという期待もこめて、ネタ的メモです。(汗)
仕事中に、ふと思い立ったもので。
つーか、景時さんが出てない・・・。(げふ)
天白虎の瞳のことを考えてたら、こういうお話はどうかな、と思って。
地白虎は、それからの派生だったり・・・、まぁ、あの声には逆らえないような気がしますが。

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