徒然のんべんだらり、気の向くまま萌の赴くまま。 二次創作BL中心、腐女子バンザイ乱行三昧。 |
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。
遙かなる時空の中で混合、地×天で現代パラレルです。
全年齢対象だとは思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)
友雅、翡翠、景時は親戚設定です。
そして友雅と翡翠は行き過ぎたブラコン。(兄弟じゃないけど)
友雅、翡翠は故あって景時さんの家に居候中。
そういったこと前提でお読みください。
【 一つ屋根の下 】
小鳥がさえずる朝の爽やかな空気の中、その爽やかさに負けないような鼻歌が庭先から聞こえる。
「ふんふんふ~ん♪」
「おや、随分とご機嫌だね、景時」
「あっ、おはよう~、翡翠さん。え? そんなことないよ?」
洗濯物を片手に、鼻歌を歌っているのはいつものこととは言えど、今日の景時はいつも以上に上機嫌に見えた。
その様子をじっくりと縁側から眺めて、翡翠は声をかけたのだけれど、当の景時本人はけろっと知らばっくれている。
だが、その景時の笑顔の中には隠しようもない喜色がありありと浮かんでいる。
いくら可愛い景時の、可愛い笑顔でも誤魔化されたりなんかしない。
これが友雅だったら、一緒に微笑んでなぁなぁのうちに流されてしまうのだろうけれど、その点、翡翠は気になることはさっさと解決してしまう方なのだ。
翡翠は、景時の笑顔に笑顔を返しながら、単刀直入に聞いた。
「その笑顔の原因は、"ゆずるくん"関連なのかな?」
「え? えぇっ?! な、何で知ってるのっ?」
「何だって?」
解りやすい・・・、とは思いつつもその反応がまた可愛くて、翡翠は微笑んだ。
しかし、その翡翠の笑顔は後ろからの物音で不愉快そうに小さくゆがめられた。
相変わらず休日にかこつけて景時が起こしにいくまで午睡を取ろうと目論んでいるであろう友雅が、珍しく起きだして、景時の言葉に驚愕し、新聞を取り落としたのだ。
「友雅、朝一番はおはようではないかね」
「うるさいっ、お前に言われずとも解っているよ。おはよう、景時」
「お、おはよぉ、友雅さん」
友雅は、翡翠の言葉に不愉快に答え、けれど景時には打って変わって甘い笑みを浮かべて朝の挨拶を述べた。
その代わり身の速さに、たじろぎつつも景時は挨拶を返す。
景時のちょっと引きつった笑顔の挨拶でも、友雅はでれっと溶けそうな表情をしている。
自分のことは差し置いて、その友雅に白い目を向けながら翡翠は景時に尋ねた。
「今日は一緒に出かけでもするのかい?」
「うん、そうなんだよ~。それから譲くんの家に招待してもらうことになってて」
「景時、確かゆずるくんは、高校生だったね?」
「そうそう、まだ1年生なんだけど、すっごく大人っぽくてね。でも時々子供っぽいところもあってそこが可愛くって」
「ほう、それはそれは」
「高校生っ?」
和やかな会話にまたも友雅が水を差す。
翡翠は今度こそ、不愉快さを満面に押し出して友雅を見据えた。
「いちいちうるさいよ、友雅」
「何を言ってるんだ。高校一年生なんて、まだ犯罪の域じゃないか」
「何のことを言っているのかね、この馬鹿は。日本での犯罪は14歳未満に手を出したら、だよ」
本当に何の話をしているのか、景時は話の雲行きが怪しくなってきてもう何も言わず二人の会話を傍観することに決め込んだ。
この二人が本気でいがみ合っていないと解っているからこそできることなのだが、傍目から見たら刃傷沙汰になりかねないような険悪振りである。
しかし、いくら見慣れている光景といえども、景時ははらはらし通しだ。
けれど、自分が割って入れば、余計に事態がややこしくなることを十分承知しているので、景時は傍観しているのだ。
その景時をよそに、二人の口論は苛烈していく。
「犯罪にこだわっているようだけれど、鷹通君だってまだ未成年だろう」
「未成年でも、鷹通はもう保護者から離れて暮らせる19歳だ」
「だが未成年には変わりあるまい。社会的地位はまだ磐石ではない」
「17の幸鷹君に即効で挑んだのはどこの誰だったかな」
「中学校に上がったばかりの鷹通君に目を付けて、ストーキングしておきながら、いまだにロクに触れてもいないお前と、私は違うのだよ」
「お前、さっきと言っている事が違うだろう」
「私ははじめから、高校生と付き合うことに異論は唱えていないよ。まぁ、中学生に惚れたショタコンはどうかと思うがね」
「ショ・・・」
友雅がいよいよ窮地に差し迫った、と思うところで折りよく呼び鈴が鳴った。
実際、友雅ならばここから巻き返しもきくのだったが、呼び鈴によって会話は完全に一度打ちとめられた。
全員の意識が玄関の方に集中する。
戸惑ったような景時に、翡翠はゆっくりと微笑んで顎をしゃくる。
それを契機に、景時はあらかじめ用意しておいたらしいバッグを片手に走り出した。
「い、いってきまぁ~す」
「はい、いってらっしゃい」
「あ、ちょっと待ちなさ・・・」
「おや、まだ話は終わっていないよ」
脱兎のごとく走り出した景時に、ひらひらと手を振りながら翡翠は彼を送り出したが、友雅はそうは行かなかった。
話はまだ終わっていないとばかりに景時を追おうとした友雅だったが、それは翡翠によって阻まれた。
「お前と話すことなど何もない」
「そうお言いでないよ。じっくりと話そうじゃないか。人の恋路を邪魔するほど野暮なものはないだろう」
「恋路って、景時にはまだ早いだろう?」
「お前ね・・・、景時はもう27だよ。お前、自分がその年のころ、どうしていたか考えてごらんよ」
「私と景時は違う。あんなにまだ頼りないのに・・・」
「あー、はいはい」
隙あらば、景時を追おうとする友雅を牽制し、なおも言い募ろうとした友雅に生返事で、翡翠は空を見上げた。
空は爽やかに澄み渡り、小鳥が可愛らしくさえずっている。
END
***** あとがき。*****************************************
何だか、やたら友雅さんが変な人でごめんなさい。(汗)
それぞれ恋人はいるのに、景時さんが可愛くて仕方がない地白虎二人。
友雅さんは過保護派、翡翠さんは見守る派で。
もっと翡翠さんも変な人に仕上がるはずだったのに、おかしいなぁ・・・。<それもどうよ