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徒然のんべんだらり、気の向くまま萌の赴くまま。
二次創作BL中心、腐女子バンザイ乱行三昧。
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創作の小話です。
BL要素のあるものなのでお嫌いな方は、閲覧をご遠慮くださいますよう、お願い致します。

遙かなる時空の中で2、翡翠×幸鷹で遊郭パロディです。
独立して読めるとは思いますが、【夜明け前】と舞台は繋がってます。

全年齢対象だとは思いますが・・・。
(BLの時点で全年齢対象・一般向けではないような気がしないでもないですが)

(遙か花街再録)

【籠の鳥。】



宵闇の中、夜空に琵琶が緩やかに響き渡る。
華やかな宴があちこちで開かれている廓でありながらも、その日、その琵琶の音色が響き始めてからだけは、誰もが耳を澄ましてその音色に聞き入っていた。
奏者がいる座敷はもちろん、他の座敷のものも皆、耳をそばだてるように。
弾き手はこの廓でも一、二を争う美貌の持ち主。
しかしながら、どんなに金を積もうとも、買うことが敵わないと言われる幸鷹だ。
正確には、向こう半年分を先買いされて、買えないというだけなのだが。
華やかな界隈には、その分だけ後ろ暗い闇もある。
だからこそ、半年間も先買いされては、半年後、必ずしも己に登楼できるだけの金子や余裕があるとは限らない。
それだけ、浮き沈みの激しい世界の住人の遊び場なのだ。
そんなところで、先買いをする物好きや、ましてやそれだけ長続きする商いを持っているものも少ない。
幸鷹は、そんな珍しい上客に先買いされているのだ。
それも、一晩、二晩、などではなく、半年先まで。
その間、相手が登楼しているかといえば、そうではなく。
幸鷹は部屋で何をするでもなく、一人で過ごすばかりだ。
そのうち、手慰みに覚えた琵琶を弾き語るようになった。
楼主は見合った分だけの貰うものは貰っているからと、幸鷹が弾き語りのみとはいえ、座敷に上がることを遠慮してくれたが、幸鷹は自ら座敷に上がることを望んだ。
いくら貰うものは貰っているとはいえ、この廓に売られた身として、早く謝金は返済してしまいたいと思っていたから。
そして、一人で部屋にいるばかりでは、自分を買うだけ買っておいて、ほとんど顔を見せない自分の買い主の男のことを、思い返さずにはいられなくなるから。



幸鷹が一曲弾き終わると、わ、と拍手と喝采が巻き起こる。
あちこちから、賞賛や賛美の声がかかるのを、幸鷹はぼんやりと聞いていた。
あの男が、最後に自分の元へやってきてから、幾日過ぎただろうか?
酌をしながら、窓から見える蛍を眺めた日から、幾日。
風景はすっかりと様変わりし、山から舞って来た紅葉が、川に彩りを添えている。
もうすぐ雪が舞い始め、年を越してしまう。
そうしたら、また幸鷹は一つ歳を取る。
また一つ、老いて衰えて醜くなってしまう。
初めて出会った時は、早く大人になりたいと思った。
あの男に、追いつきたいと思った。
けれど、日が経つにつれ、歳を取ることが恐ろしくなった。
歳を取れば、老いさらばえて行く。
今は蝶よ華よと騒ぎ立てられても、やがて老いは醜さを呼び、人々の関心から消えていく。
きっと、あの男の関心も消えてなくなってしまうだろう。
そんな取りともめもない思考に囚われていると、不意に腕を掴まれた。
今日、琵琶を披露した座敷の、上客の一人に腕を取られたのだ。
客人は酌をしろと言いながら、幸鷹の身体にそういう意図を持って触れてくる。
ここは廓だ。
宴の後は、客と懇ろになるのは決まりのようなものだ。
だが、幸鷹にはそれを受け入れることは出来ない。
先買いをされている身でもあるし、何よりも、ここに来て以来、ずっと先買いされたために、あの男以外の相手をしたことがないのだ。
そして、あの男、翡翠は、いつも幸鷹に酌をさせたり、腕に抱いて眠りはしても、そういった意味で幸鷹を抱いたことがないのだ。
それゆえに、幸鷹はいくら上客とはいえ、その男に嫌悪以外の感情を抱かずにはいられなかった。

「…や、放し…っ」

「すまないね、この子は私が先に買っているのだよ」

客を突き飛ばしそうになったすんでのところで、幸鷹は別の腕に掬い上げられた。
急に訪れた浮遊感に、とっさに手近にある布を掴めば、そこからは嗅ぎ慣れた香り。
そして、長く耳にしていなかった、聞き惚れるほどの甘く心地よい美声。
幸鷹は、相手を確認するまでもなく、その広い胸に縋った。
ニ、三事、客とのやり取りを経て、翡翠は幸鷹を彼の部屋へと運び込んだ。
そして、物でも投げるように、幸鷹を褥の上へと放り落とした。

「…っな、何を…」

「君は何をしているのかね?」

幸鷹が問い返す前に、翡翠のきつめの声がそれをふさぐ。
見上げた翡翠の瞳は、明らかな苛立ちを含んでいて、幸鷹は竦んだ。
長い付き合いの中で、翡翠に睨まれたのはこの時が初めてだった。

「君を買っているのは私だろう。何故、他の座敷に上がっているのだね」

「…お、お前がっ」

「私が何かしたかね?」

「お前が、いつまで経っても来ないからっ! 何もしないと、お前のことばかり考えてしまうから…っ」

「…幸鷹…」

翡翠の突き刺すような言葉に、幸鷹は堰を切ったように叫んだ。
すると、翡翠がゆっくりと幸鷹の前に膝をついた。
俯いて叫んでいた幸鷹は、その翡翠の行動にびくりと小さく震えた。
翡翠が最後に来た日から、もう幾月過ぎただろう。
日が経つにつれ、どんどんと心が弱くなり、醜くなっていく。
女々しい思いに囚われ、己がどんなに惨めか解っている幸鷹は、そんな自分の姿を翡翠に見せたくなくて、硬く口唇を引き結んで俯き続けた。
そんな幸鷹をすべて包み込むように、翡翠が優しく彼を抱きしめた。

「不安にさせて、すまなかったね」

「翡翠」

「いろいろと、片付けていたのだよ」

「…翡翠。今すぐ抱いて」

「…幸鷹…」

幸鷹は、抱いて、と強請った。
今まで、廓という空間にいながらも、故意に翡翠が避けてきた行為。
それに類するものの一切を、翡翠は幸鷹に近づけないようにしてきた。
だから、幸鷹には抱かれる、ということがどういうことか、はっきりとは解っていない。
それでも、幸鷹は、抱いて、と強請ったのだ。
強請らずにはいられなかった。

「お前はこの顔が気に入っているといっただろう? ならば、醜くなってしまう前に」

「君は綺麗だよ」

そう言って、幸鷹が次の言葉を継ぐ前に、翡翠はその口唇を自分のそれで塞いだ。
突然のことに、幸鷹は瞳を見開いて、目の前にある翡翠の一対の瞳を見つめた。
それは、出会ってから数年、初めて翡翠から与えられるものだった。

「もう少し。もう少し、待っておいで」

「…翡翠…」

そういって、翡翠は幸鷹を優しく抱きしめた。翡翠の言葉に、幸鷹はいつまで、も、何故、も返せず。
その美しい瞳にためた透明な雫を、静かに一筋流した。



                            *** 終わり ***

*************************************************************

中途半端ですが…。
資料がないのであれなんですが、半年間先買いとか、ホントに出来るんですかね?(汗)
さて、この翡幸が本番に進めるのはいつなんでしょうね…?

つーか、幸鷹さんがあんまりにも女々しくて、幸鷹さんぽくないですね。
翡翠さんも妙に優しくて気持ち悪い。<おい

私はもっとこう、翡翠さんを拳で殴るような幸鷹さんが好きなんですが。

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